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ドライアイス

 

空気より熱くて冷たい温度だから白い二酸化炭素をもくもく出しながらゆるやかに溶けてゆく。

 

 

まだ三分の一くらいあるリップクリームが折れて、こんな時間に玉子焼きを作って食べて、スーパームーンを雲の隙間からほんのり見て、今日もラジオでお便りは読まれなくて、お誕生日は祝えなくて、またしばらく帰れなくて、何かを諦めながら毎日を進める。こんな積み重なる憂鬱を溜め込んで 誰かに言う 大丈夫じゃないけど「大丈夫。」。

私の感受性は私の体験を無視して勝手に色んなものと共感する。

小説の第二あたりの語り手、なんかの広告のキャッチコピー 、漫画の失恋をしたキャラ、愛を叫ぶ曲、人生のどこにもそんな私なんていなかったのにね。

空気を読んだふりして、自分で思ってることなんてなんにも言えない。誰かの人生を歩いているのかな

 

 

熱くて冷たい温度で白い二酸化炭素を出して形を残さず融解していくドライアイス。目に見えるのは温度が違う空気の中でだけ。

 

目に見えるような誰にも言えないことは蓄積して私の中で凍ってゆくけれど、せめて本音で話してくれる隣の人の空気洗浄機に なれてるかなぁ