東京にいた

 

東京にいた。車中泊合わせて六日間の帰りの夜光バスの中、足のむくみがひどい。

初日は、充電できるところと、freeWi-Fiにありがとう!と思ってたのに、コンビニどこに寄っても外国人ばかりだし、上を見上げれば小高いビルばかりで自分のアパートが恋しすぎて朝から泣いてしまった二日目。ビジネスホテルのシングルの部屋の大きなベットに小さく丸くなって眠った。

 

その夜、友達とカプセルホテルへ行って「寂しすぎてつらかった」ことに共感しあい、ニコニコがとまらなかった。人恋しさが空腹だったみたく、気心許せる相手がいることがすごく幸せだった。電車に乗っておみくじ引いて、ホテルまでの飲み屋街にびびり、着替えるまで入ってこないでねの契約のシャワールームと、二人でひとつのコインランドリー回して、外人ばかりの部屋にびびりながら、夜更かししていた。「自分の家みたい」と笑った友達を見て安心していた。

 

「東京名物!串揚げ!」の看板に「東京は串揚げが有名なの?」と聞かれ、「東京は何もないじゃん」と言いそうになって「なんでもあるけどこれといった特徴は」と付け足した。何でもあるけど、何もない。

バレンタインなんて本当に関係のない夜だった。

人が居すぎて本当に疲れた。あそこで立っている警察官は若いけど、たくさん勉強して納得してこれからもああやって生きてくのかなとか、地下のエレベーターから登って行くときにふと見えた床で眠っているホームレスにびびったり、コンビニで働く人の名札が「すずき(た)」さんなことに安心したりした。そういったことがある度誰かに伝えたくなった。「こわい」と思ったことを誰かで濁そうとした。

憧れはある。漫画で見た駅の名前、あの動画と同じ風景、田舎にはないコンビニ、期間限定の展示。田舎にないものが確かになんでもあるのだ。ただ、そのどれもが独りであることをより浮き彫りにさせるような気がする。分かんないけど 谷川俊太郎展行けてたら泣いてなかったかもしれないけど。

いけなかった展示の墓として本屋さんへ向かう。やっぱり行きたかった。

私は東京が好きじゃない。仙台の小高いビルを見ていても思う。ここでは生きていけないと、なんどもなんども思ってしまう。 生ぬるい温度の中でずっと眠っていたい。夢もないし、大好きな友達がいることしか好きになれない。

 

 

 

また来週も夜行に乗って、