お薬みたいな人たち

 

 

良心 vs 良心(情 vs ルール)の戦いをした。アルバイト中、頭の中で三時間くらいの戦いの末、ルールが勝った。情が勝っても、ルールが守られていないことがバレたときにかかる負担と迷惑の大きさ、悪いことをしてない人が困るという現状が嫌だなと思ったのでルールが勝った。

なんだか小学生の時に読んだ道徳の主人公みたいな気持ちになった。

どうしたらいいんだろうと、一人で考えた時、誰かに聞いてほしいと思った。この立場になったら、どうするのが普通?どうしたらなるべくみんなが傷つかなくてすむ?脳内で会議をする。抱える問題の登場人物から学校の人はなし。システムを理解してくれて、読解力と良心がある人…を頭の中で検索したときに、ふたり頭に浮かぶ。

ふたりとも、もちろん頭がいい。詳しく伝えればたぶんざっくりでもシステムを分かってくれると思う。でも、私が文面だけで伝えられるだろうか?こっちの方が心配になってきた。

脳内で架空のふたりに相談した。

ふたりなら私の「あなただったらどうする?」という質問に対して答えてくれたあと、「すみちゃんはどう思ったの?どうしたいの?」と聞く。困って何も見えてない私の目線を合わせて聞いてくれる。向くべき方向を言語化させるために私は…と考える。伝えると、そこにアドバイスをくれる。そこから何かを拾って話をするする進めていく。気が紛れて気づくと楽になってる。

でも、そんなふたりがすぐ側にいるわけじゃない。たぶん暇じゃない。そしたら、

「すみちゃんはどう思ったの?」と自分に問う。何度も何度も頭のなかであっちに行ったりこっちに行ったりしていたが、ふたりの顔を思い浮かべて、言葉にしようていく過程で答えはすぐでた。ふたりが私と同じ選択をするかは解らないけど、私はふたりの前でこんな人間でいたいと思う方向へ行くことにした。

偉い人に全部チクった。大丈夫、私は悪いことをしてない。彼女にとって不都合なことをしてしまっているかもしれないけど、お金が積もって大変な思いをするのも彼女だし。大丈夫だから

どきどきしながら話をしたら笑われた。「報告ありがとう」と彼女が悪いことをしているのではなく、私を騙そうとしているだけなのでは、という可能性を示してくれた。そこにびっくりした。けど、私が騙されているだけであと全部おっけーならそれでいい、それがいいと思った。そこに知らないフリしとけばいい方が気持ちが軽い。笑ってもらえて、私は吐き出せて、そんな可能性を示してもらえてずいぶん軽くなった。

ふたりは「あなたなら大丈夫」と言う。私はふたりがいるから大丈夫になったよ。と晴れやかな心でアルバイト先に携帯を忘れて自転車をこぎ、アパートへ帰った。家について速やかにまたバイト先へぬくい風に吹かれながらもどった。