AEDの講習を受けに行った。グループで、代表が行けば良くて、8人の中で私だけが行くことになったことにイラつきながら、人生で何回目だよと思う講習を受けた。

人形に息を入れてアルコールで拭いたのを間接キスで回すのが嫌だ。(行きたくなんかないけど)誰かが行かなきゃいけないなら私が行くよと言って参加した。飲み込めず、外にも吐き出せない気持ちをズルズルしてしまって相手を不快にさせないために自分の機嫌が悪くなるやつ、いい加減やめたい。

四人グループで1つの人形を使ってAEDを使う練習をした。知らない3人と一体の人形を何度も回していった。手を抜きたくてゆっくり心臓マッサージを行う。まわりの皆はその倍くらいの早さで一生懸命やっていた。自分の番が回ってきて人形の顔にまじまじと目を向けたとき、おじいちゃんが死んだときの顔に似ているなと思った。ガンで痩せこけた輪郭、ちょっとだけ空いている口、もう開かないんだろうなっていう瞼。心臓がとまった状態の人の顔をこんなにリアルにする必要なんかあるのだろうか。おじいちゃんに似ている、おじいちゃんより確実に若い人形に息を吹き込む。使い終わった後、エタノールでその口周辺は丁寧に拭かれる。作業が終わる度に同じグループの男子は「ハイ、生き返りました~」と言う。生き返らないよと思う。もう棺のなかに入っているくらい穏やかな顔をしてるもの。