ビスコを食べて

 

涙の数だけ強くなれたら今ごろ最強だってーのと新宿ルミネの下着屋の前でビスコを食べながらそう思った。

 

キラキラの装飾、ピンク色の床、カラフルなレース

 

入れない

 みんなどんどん出入りしていく。女子高生からおばさんまですんなり入っていく。私にはその権利がないような気がする。今日はくたくたのスーツで、ひとりで無料で座れるところを探してビスコを食べているこんな私が立ち上がって姿勢良くあの空間に入っていくことなどできない。下着屋って、ランジェリー店と思い浮かばなかったから入る資格がない。あの女、スーツであんなとこはいりやがった。くたびれた就活生が時間つぶしに入るなよとか思われてそう。

 サイズとか、柄とか、色とか、値段とか、顔の偏差値とかから、人前で下着を買いたくない気持ちが大きい。もっぱらネット通販だ。口コミをよく読んで、ワンサイズ小さいやつね!オッケーとか、判断しきれないときは、見に行って試着しないで帰る。自分でもどうかと思う。

それでも私は生活の中で毎日の服を選ぶより、下着を選ぶ方が楽だ。人に見られないから、好きな柄の下着をつければいい。付け心地がいいのをつければいい。明日の服をこれにするならこれにしようとか。正解が全て自分にあるような、人に見せる機会がないからこそ、好きに、自分のために選べばいい。私は人より胸が大きい。鏡の前で下着姿でいる自分をみてあぁ、おんななんだってしみじみ思う。

お洋服だって同じく選べばいいのにね

ビスコはいつ食べても等しく優しい食べ物なので強くなれなくても、大好きです。