22歳になった

 

 

10月末日、ひとつ歳をとった。ついにお父さんが私が生まれた歳を1つ超えてしまった。人間と両想いになるということを知らないまま。

それはさておき、22歳になって親知らずを抜いてピアスを開けた。自分を変えることは楽しい、ような気がする。自分を変えることが楽しかったのか、普段はしないドキドキを味わったからなのか。歯を抜くのも耳に穴をあけるのも、もちろん痛かった。でも、生きてるって感じがしてドキドキワクワク!が勝っていた。

 

「22歳はどうですか」

私より2週間年下の女の子の誕生日の1日前に一緒に帰った。とても久しぶりに一緒に帰った。卒業までもうあと少ししか一緒に過ごせないという条件はきっと私も彼氏もおんなじだろうけど、そこに時間の価値の違いがあるんだろうな、私はでしゃばっちゃいけないなと思うほどに距離が遠くなってく。彼女の方から連絡がくる時もあるが、それは彼女が弱っているときだから最近連絡がこない、ということはいいことのような気もしている。一足先に歳をとったのでこう聞かれて、耳と歯について喋った。「おぉ」と言われた。けれど、彼女は一足もふた足も先に両方行っている。

「21歳はどうだったでしょうか」

「まあこんなもんでしょう」と彼女は言う。生まれて初めてディズニーランドへ行ったりしてたもんね。私はぬるい幸せがゆるゆる続いていたように思う。20歳は毎日つらくてこんなにつらいのかと思ったけれど、21歳はぬるかった。「私も本当にそう」だよね。つらさのジェットコースターのタイミングは一緒だったみたいだけれど、角度がきっと全然違うんだろうな〜と思う。彼女の言う「まあこんなもんでしょう」は多分私にとって体感100度ブチ上がりだと思う。

 

「最近あった幸せなことは?」

と聞かれて、遅刻しそうになったが、音声検索で面白い結果になった話をする。

「最近あった幸せなことは?」

聞き返す。彼氏が最近車を手に入れたそうだ。どこへでも行けるね。

 

なんだかとっても寂しくなった。それで彼女のアパートについて別れた。

残りの200mくらいを一人で歩く。私にはなんにもないということを諦めたくないと思う。

 

手っ取り早くストレスを発散できる買い物、食欲がみなぎっていて毎日がなんとなく仄暗くて怖い。バイトとか人間関係とかの賞味期限や「もうすぐ冬になって雪が降りますね」とかそういうのに指を折って数えていたけれど、卒業したらやりたいことを数えて頑張るんやで。富豪になりたい。天使になりたい。可愛くなりたい。笑ってても、怒っていても、泣いていても、許されたい。

いつまでもこんなところにはいられない。羽を生やしてどこか遠くへ生きたい。