キリトリ線

 

 

 

中学生の時、マンガを学校へ持って行くのはダメだったんだけど、部活の日とかに友達とお気に入りのマンガを貸し借りしていた。少女漫画「ストロボ・エッジ」を読んで 貸してくれた友達と 安藤くんがかっこいい だの 蓮は最後必死すぎだ などと盛り上がっていたら、私より少女マンガが似合う友達二人も読みたがって 最終的に回し読み状態に。ときめきを共有できるのは楽しかった。

 

 

ストロボ・エッジ」に 季節のにおい の描写がある。ヒロインの片想いの相手  蓮が恋人の前で「もう冬のにおいがするね」と言うが理解されず、ヒロイン 仁菜子も全然違うところで「秋と冬のにおいが半分になった!」と言うが仁菜子に片想いの安藤くんも「は?」だ。つまり、最終的にくっつく二人だけが「季節のにおい」を感じている。この二人だけの共通点に ぅわ~~!!っとした読者がどれだけいるでしょう。

 

 

土日の部活一日練習が終わって四人で帰る日があった。もう私は「ストロボ・エッジ」を読み終わって「君に届け」を読んでいた頃。雪はふってないけど、つん、と寒くて暗くなるのが早くなりかけてきた頃。薄暗いけど、空はほんのり青くて、みんな青い長袖長ズボンのジャージを着て歩きながら、一人が「冬のにおいがするね」って言い出した。みんな同じこと考えたんだと思う。貸してくれた友達が「ストロボ・エッジの真似だろ!」って突っ込んで、笑いながらみんなして深呼吸して帰った。

もう七年前くらいのこと。適当で必死で周りから見たら簡単なのに、よく絡まってはほどけなくなる毎日。でも、ちゃんとほどいてまた一緒に向き合えた日々。漫画の描写をなぞって下校できるなんて きっと もう ない。

 

冬の冷たい空気を吸い込んでさぁ もう 目を覚まさなくちゃね