実感
歯を抜きました。
痛くなったら麻酔が効いていない場所かもしれないので右手をあげてください。と言われました。いちばん、奥の生えかけの歯を抜くのです。歯を抜いている時、口があかないところまで開かせられて、口角がいちばん痛かった。キュイーンの音にこれがこわいやつか、と思ってたら耳に膜がかかったような感じがして遠くに聞こえて、こわかった。
昨日は、病院へ行きました。
病院へ行ったとて、薬しか出ないのだけれど、根本の解決はなにもできていないのだけれど、明日、明後日、1週間を少しでもマシにするための薬なのです。
自分を少しだけ、安心させるための薬なのです。
明日、詰められる予定があります。
それが不安になって憂鬱がひろがっていきます。もう未来なんか見たくない。思考停止。怒られたくない。逃げたい。
でも、明日はくるし、私は私の非を認めて、ぶあ〜と広がる憂鬱を、喉が閉まるあの感じを、胃の痛みを、目からでそうな涙をまた堪えて毎日を繰り返していくのです。
どうしたらいいんだろう
余裕があるときは困っている人に優しくできるけど、余裕がないときは誰を頼ったらいいのか分かんないね。これが一生続いていくのかと思うと嫌になるね。
気を紛らわせる方法として、漫画も、映画も、ドラマも、アニメも、小説も、音楽も、文化があってそれを差し出してくれる人に感謝しなきゃだね。つくる人に憧れるね。
歯が砕ける音を聞いた。生きた心地がしなかった。
うがいをすると、白い洗面台に赤が広がった。
口から出た血の匂いを嗅いで、あ、生きてるって思う。