今日もどこかの会場で

 

何百時間の練習を、一つのステージ上に立って、たったの6分、12分に込めて音を合わせて演奏して、これまで、と、これから、を審査に決められて、泣いたり、喜んだりしている吹奏楽部員がいることが尊い。

 

練習だけじゃないんだよね 人数が多ければ、パートの取り合いだって起きるし、大会に向かう姿勢が違うのなら、そこでまたぶつかってしまうし、他の人ができているのにどうしてうまくできないんだろうと悩んでしまうことだってあるよね。一番上に立つからこそのプレッシャーもあれば、それを支える人もいて、顧問や指揮者がいて、先輩に一生懸命挨拶をする。一人で戦うことができないからこそ、ぶつかったり、合ったときの喜びや感動が詰まって、本番の手汗や震え、緊張がたまんない。

私の場合、6分だった。どんなに練習をしても、積み重ねても、時間は止まらなくて、一秒に6つの音を正確に入れるためにあんなに眩しいステージで指揮者を見つめなくてはいけない。一秒に正確に、しかも他の人とタイミング、音程を合わせるために私は何時間費やしたのだろう。何度この指の動きを繰り返したんだろう。何回先輩や後輩ちゃんや同級生に迷惑をかけちゃったんだろう

 

多数の人間の時間を使って積み上げてきた成果を、決める審査員

練習するに越したことはないんだろうけれど、練習時間×練習の濃さと方向性 で出来上がった演奏を評価されて次のコンクールに行けるかどうかが決まる。敗退すると大体の三年生はそこで部活も引退だと思う。学校によるのだろうけど。

審査員によってこれまでの今日を評価されてこれから、次の大会にいけたのならまだ吹き続けられるか、今日で終わりなのかを決められる。

 

まだ吹いていたかった、まだまだ吹いていたかったよ

腱鞘炎にもなったけど何も後悔してない あれから二年経ったけど、でも、やっぱりまだ泣いてしまう

手首に新しく巡る時間を巻きつけて生きていても、私はまだあれから進められていないのかもしれない。

 

お題「腕時計」