読書感想文で夢を叶えた話

 

 

やる気はあるけど、進まない夏休みの課題部門、しぶしぶスタートダッシュを切ったもののまとまんなくて途中で投げ出したくなる宿題部門、一生懸命書いたけど、なんの感情も残らない課題部門、三つ一位。三冠達成おめでとう!

 

お題「読書感想文」

 

どくしょかんそうぶん

あまり好きじゃなかった。小学生と中学生の時合わせて2回くらいクラスで選ばれたことがあるけど、読んだ本に書かされている感じがするし、選ばれても、お母さんは「本が良かったんじゃない」て言ってたし。

でも 聞いてほしい。

人生で最後に書いた読書感想文が小さな夢を叶えた。

 

それが夢になったのは高校一年生の10月くらいの集会で壇上に上がって表彰されている友人を見て うわーすごいな〜 一年生なのに こんな大人数の中から選ばれて みんなの前で校長先生から直々に賞状をもらえるなんて!とよく私に廊下で抱きついてくれた友人を体育館のたくさんの生徒がいる列の前から6番目くらいから見上げて感心したことがきっかけだった。前の方だったから感動したんだろう、ちゃんと見ていたのだろう。私もあそこで何かもらって見上げられたいって思った。当時は元気にツイッターをしていたけど、ネット上じゃなくて現実で選ばれて特別になりたかった。

壇上に上がって賞状がもらえるのは、だいたい大会で成績を残した部活の部長とか、検定で一番難しい階級を高得点でとった人だ。まず無理な気がしていた。副部長になったけど、部長がその集会の日にピンポイントで休む確率は低いし、代表の名前を呼ばれたあと、その担任の先生が「休みです」とぼそっと言ったあとに「じゃあ、副部長の方...」と言われて壇上に上がるのは嫌だった。私の名前を呼ばれてちゃんと返事をして壇上に向かいたかった。

話を戻して、友人が一年生の時に壇上に登って賞状をもらったのは読書感想文だった。

読書感想文で表彰されるのは10人。各学年3クラス、1クラスから2人が指名されるらしい。3学年×3クラス×2人=18人の代表の中からさらに10人に絞られる。八人は教室で惜しかったねって言われる。全校生徒270人くらいの中から10人がステージで表彰される。

高校三年生の時にそのちょうど10番目に選ばれた。

朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」を読んで、スクールカーストと叶わなかった夢を混ぜて書いた。当時、私もスクールカーストを気にしていた。中学時代から仲の良い友人とクラスではあんまり話さず、二人とも違うジャンルの子(運動部と文化部みたいな、私が底辺であの子が最上部みたいなところ)と仲良くしてるけど、バスの中ならふたり隣でたくさん話してて、これを周りから見たら違和感なんじゃなかろうか。と一人で気にして勝手に時々遠い存在のように感じていた。入試の願書を書くにあたり、「私の長所と短所はどこだと思う?」とその友人に聞いたところ「周りを気にしすぎて自分の意見を言わないところが短所。もっと積極的に自分の意見を言いましょう」と教室で先生みたいな口調で言われた。

わ、ってなった。目が覚めたというか、遠く感じていたけど六年間の付き合いがある彼女にはお見通しなんだなってことが嬉しかった。分かってくれている人がいること、それがちゃんと信頼できる相手であることに救われた。嬉しくてちょっと笑いながら「ありがとう」って言った。長所はなに言われたか忘れた。

スクールカーストと友人の言葉に救われたことそれから叶わなかった夢(さよなら三角、またこなくとも)について書いたような気がする。大分覚えてない。タイトルが「私の小さな世界」で賞状をもらうとき読まれて死ぬほど恥ずかしかった記憶がある。

私が高校三年生で賞状をもらうとき、一年生の頃、私の夢になった友人はベスト3に入ってて「流石だな~」と思った。ギリギリ賞状をもらえたことでも何より願ったことを叶えたことがちょっと誇りだった。緊張した。私のタイトルのせいで注目の的になっているかしら、でも、校長先生の目をちゃんと見てお辞儀した。どんな顔していたんだろうわたし。

あれから丸2年 

 もう読書感想文を書く機会がない。だから本を読むのに気を負う必要はない。フットワーク軽く借りたり、買ったり。本屋さんにはたくさん本があって自己啓発本を買おうにもどれが私の人生を変えてくれるのか分からない。カラフルなジャケットを着た夏目漱石よ、私はどれを選べばいい?答えはないし、胡散臭いし、こんなデザインずるいわって失笑した。でも、一冊の本に集中して自分の人生を重ねてみると何か見方が変わるかもしれないし、夢が叶うかもしれない。読んだ本は経験としてなくても、共感できなくても、反面教師でも、すべて私の味方になると信じている。